個人情報保護法成立と個人情報保護士ニーズ

 情報化社会の進展とともに、行政・民間事業者ともに大量の個人情報を処理するようになり、その情報漏えいは大きな社会的問題を引き起こす可能性あるということから、各国で個人情報の保護のあり方につき様々に協議されるようになった。 1980年、OECD(経済開発協力機構)の理事会において「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する勧告」が採択されることとなる。海外におけるこのような動きの中で、日本の個人情報保護体制が曖昧であれば、貿易に影響を与えかねないということから、まず1988年に公的機関を対象とした「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する指針」が、翌1989年には通商産業省から「民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の保護に関するガイドライン」が提示された。しかしガイドラインには法的拘束力がなく、また「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する指針」には罰則規定がないなどの問題が指摘された。2002年には住民基本台帳ネットワークの稼動が開始し、個人情報の保護が一層さけばれるようになり、2002年に個人情報保護関連五法案が国会に提出された。個人情報保護関連5法とは、具体的には

 1.個人情報の保護に関する法律

 2.行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律

 3.独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律

 4.情報公開・個人情報保護審査会設置法

 5.行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関連法律の整備等に関する法律

 のことを指す。

 報道の自由への影響などの問題が指摘されながらも、「個人情報の保護に関する法律(平成15530日法律第57号)」、通称「個人情報保護法」が制定され、平成1541日から全面施行されることとなった。

 このような情勢の中、文部科学大臣認定法人である財団法人情報学習振興協会が開始したのが、「個人情報保護士」試験である。

 個人情報保護法に関して、この個人情報保護士試験でも問われる基本概念を概観してみよう。

 個人情報保護法における「個人情報」とは、「生存する個人の情報であって、特定の個人を識別できる情報」を指し、これには「他の情報と容易に照合できることができることで特定の個人を識別することができる情報も含まれる。」(法第2条第1項)「生存する個人」というところと、「個人を特定することが出来る情報」というところがポイントである。そして、個人情報を含む、コンピュータ等で容易に検索できるデータベースや、目次や索引などにより体系的に整理された紙のデータベース等」を「個人情報データベース等」、「個人情報データベース等」を構成する各データを「個人データ」という。5000件を越える個人情報を取り扱う者を「個人情報取扱事業者」と言い、「個人情報保護法」は「個人情報取扱事業者」を対象する法律と定義されている。

 概略説明といったものの、多少細かな定義を出してみたが、理由は後の試験対策で分かるように、この定義をしっかり頭に置いた上で、学習するとそれぞれについてどのように取り扱うかが明快に頭に定着するからである。今はまだ読み飛ばしていただいて結構だが、「個人情報保護士」になるぞと思われた方は、後からじっくり読みなおして欲しい。これ自体が、試験のポイントの一つなのだ。

 以上、もともとOECDガイドラインに対応する形で、国内の個人情報保護体制を整えることで貿易に対する悪影響がないようにしたいという目論見もあったことから、個人情報保護法は、個人に関する情報を保護するという側面の他に、どのように安全に個人情報を経済的に活用するかという利用の側面もあることを忘れてはならない。後に詳述する「個人情報保護士」試験でも、そのような観点が問われることが多いのはそのためである。また報道の自由との兼ね合いが、様々に議論されたことから、報道・犯罪捜査などと個人情報保護法との関係に関する出題もなされる。重要論点としてこの2つを頭において欲しい。


 さて、一連の個人情報保護法に関する議論の中、世論の個人情報に対する興味の高まりとともに、民間事業者も個人情報保護対策に取り組む必要が生じるようになる。顧客情報漏えい事件などが多発する中、危機管理としての個人情報保護が各企業とも必要となったのである。とは言うものの、企業の中で最初から個人情報保護法の専門家がいるわけではなく、ましてや個人情報漏洩事件などを担当した経験ある弁護士などが社内弁護士がいるような企業でもなければ、いったいどのような人材に、個人情報保護に関連した業務をまかせられるだろうか?そんな時に、「個人情報保護士」という公的資格をもった社員がいれば、企業としても安心して仕事をまかせられるはずだ。個人情報保護法制定以降、企業はそのような人材を求めているといえる。


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